EDとは
ED(勃起不全)は決して特別なことではなく、ごくありふれた身近な問題です。日本国内の統計では軽度のEDを含めると1800万人といわれ、3人に1人がEDという割合になり、 特に高齢になるほど増加していき60歳以上では2人に1人がEDであるといわれています。
ED(勃起不全)とは
EDとは、「勃起不全・勃起障害」の略語で、英語表記のErectile Dysfunctionを省略してEDと呼ばれています。専門的には、「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続または再発すること」をいいます。十分な硬さの勃起が得られない、中折れする、性行為で射精までできるが、時々勃起しないというのもEDの症状になります。
通常の勃起とEDではそのメカニズムに以下のような違いがあります。
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通常の勃起
- 1.性的刺激で脳が興奮を感じ、神経に勃起の信号を送る
- 2.陰茎海綿体の動脈が拡張
- 3.血液が一気に流れ込む
- 4.陰茎が大きく膨らむ(勃起)
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ED(勃起不全)
- 1.性的刺激で脳が興奮を感じ、神経に勃起の信号を送るがうまく伝わらない
- 2.陰茎海綿体の動脈が拡張しにくくなる
- 3.血液が十分に流入しない
- 4.陰茎が膨らまない、もしくは勃起はしても維持できない
通常の勃起が生じるメカニズムのいずれかが正常ではなくなることでEDとなります。
ED(勃起不全)が起こる原因
上記でも説明しましたが、勃起が生じるメカニズムの流れが正常ではなくなるとEDとなります。このEDは原因により大きく分けて4つのタイプ「心因性ED」「器質性ED」「混合性ED」「薬剤性ED」が存在します。
若い方で一番多いのは心因性のEDで、年齢とともに器質性のEDや混合性・薬剤性と増えていきます。加齢とともにEDの割合は高くなるのですが、近年では様々な原因、仕事やプライベートのストレス、不規則な食事がEDの原因であると広く知られてきました。また、糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病の方はEDになるリスクが高くなります。
- 心因性ED
- 勃起する能力はあるが、何らかの心理的な影響によって勃起不全・障害がおこっている状態。ストレスやプレッシャー、過去の性交の失敗経験などが原因となる事が多く、心因性EDの改善には心理的な原因を解決させることが必要となります。(30代~40代に多い)
- 器質性ED
- 勃起に関与する神経、血管、内分泌あるいは陰茎そのものの障害によってうまく勃起できない状態。糖尿病や高血圧などの疾患が現れる年代に多く見られます。器質性EDは重度の症状の場合があるので、効き目の強いED治療薬を服用して改善していきます。(50代に多い)
- 混合性ED
- 心因性EDと器質性EDが密接に関わったED。原因が複数あるため、治療が困難な場合があります。ED治療薬を服用して改善していきます。(50代~60代に多い)
- 薬剤性ED
- 服用している医薬品の副作用が原因となって起こるED。薬剤性EDとなる可能性のある医薬品には下記のようなものがあります。「精神安定剤」「抗うつ薬」「睡眠薬」「向精神薬」「麻酔薬」「男性ホルモン抑制剤」「ステロイドなどアレルギー用剤」ED治療薬を服用する場合は、併用可能かどうか必ず医師の診断が必要になります。
ED(勃起不全)の治療方法
EDは疾患として認識されているため、早い段階で対処する必要があります。ED治療で最も主流なのがED治療薬の服用です。ED治療薬は性的刺激に反応して起こる勃起機能をサポートする薬です。薬を使用することで勝手に勃起するのではなく、いざ勃起をしたときに補助する薬です。代表的な治療薬は3種類あり、患者様が自分に合ったED治療を受けることができます。
バイアグラ | レビトラ | シアリス | |
有効成分 | シルデナフィルクエン酸 | バルデナフィル | タダラフィル |
勃起力 | とても硬い | 硬い | マイルド |
即効性 | 服用後30~60分 | 服用後30分 | 服用後約1時間 |
持続時間 | 5時間 | 5~10時間 | 24~36時間 |
ED治療薬を服用するにあたって注意することは、必ず服用できるかどうかを医師に診断してもらうことです。自分の判断だけで服用することはとても危険です。例えば、なにか他に服用している薬がある場合は一緒に飲むことができないものも中にはあります。必ず確認してもらうようにしましょう。
ED治療薬が服用することができない場合や有効性が認められなければ、陰茎への注射や補助器具による治療などを行っていきます。
ED治療薬の注意点/副作用
ED治療薬を服用する際には、正しい使用方法を守ることが大切です。
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バイアグラ
- 【飲み方】
- 1日1回24時間以上間隔を空ける
- 【注意点】
- バイアグラは食事の影響を受けやすいと言われています。服用後にすぐ食事をすると効果が発揮できないこともあります。服用後に食事をする場合は1時間程度時間を空けましょう。
- 【副作用】
- バイアグラは、ほてりや紅潮、頭痛、目の充血、血圧低下などの副作用が現れる可能性があるとされています。特に顔のほてりと目の充血が現れやすいです。万が一こうした症状が出た場合は、ゆっくり休むようにしましょう。
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レビトラ
- 【飲み方】
- 1日1回24時間以上間隔を空ける
- 【注意点】
- グレープフルーツに注意が必要です。フラノクマリン酸という成分が含まれていて、レビトラの吸収率を高める効果があります。これにより、予期せぬ副作用が発生する可能性があります。
- 【副作用】
- レビトラは、ほてりや頭痛、鼻詰まり、消化不良、めまい、動悸、耳鳴りなどの副作用が現れる可能性があるとされています。特に顔のほてりと目の充血が現れやすいです。レビトラによる副作用の多くは、血管が拡張することに起因するものなので、症状が出た場合は冷やすことが大切になります。特に頭痛や鼻詰まりなどはその部位を冷やして下さい。また、症状がつ強い場合は市販薬を使用するのも一つの方法です。
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シアリス
- 【飲み方】
- 1日1回24時間以上間隔を空ける
- 【注意点】
- 用法用量を守ることが大切です。シアリスは効果の効き目が緩やかであるため、効果を不安に思い追加で飲むというケースが見られます。必要以上の服用は控えるようにしましょう。
- 【副作用】
- シアリスは、頭痛や紅潮、ほてり、消化不良などの副作用が現れる可能性があるとされています。特に頭痛とめまい、ほてりが現れやすいです。万が一こうした症状が出た場合は、ゆっくり休むようにしましょう。
偽造薬に注意
インターネットで流通している海外製品のED治療薬の約4割が偽造品だったというデータがあります。現在では個人でも簡単にED治療薬を手に入れることができますが、予期せぬ副作用などを引き起こす可能性もあるので医療機関で医師の診察を受け安全で効果のあるものを使用することが大切です。
ED治療薬以外の対策方法
ICI療法という治療法があります。ICI療法は、ご自身で薬剤を陰茎に直接注射する治療法です。注射器の針は髪の毛程度の太さで、チクッとする程度の痛みがあります。注射後は刺激がなくても勃起へと導いてくれます。ICI療法は、ED治療薬を服用することができな方、ED治療薬で効果を感じることができなかった方、重度のEDで悩んでいる方におすすめです。
EDの改善には治療薬やICI療法に頼るだけでなく、体質改善を行うことでEDが改善される場合があります。ですが、すぐに効果が現れるものではないのでED治療薬と併用することで大きな効果が見込めます。
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食事療法
EDは生活習慣病との関係性が指摘されています。日頃から生活習慣病を防ぐような食事を心掛けることが大切です。「高カロリー食」「高塩食」「高脂肪食」は避けるようにし、栄養バランスの取れた食事を摂るようにしましょう。
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運動療法
EDは運動不足によって引き起こされることもあります。肥満体型であれば尚更です。運動不足は生活習慣病による動脈硬化を引き起こし、EDの発症・悪化を促します。様々な研究結果から、運動不足や肥満を改善すると、EDの改善が見られたという報告があがっています。運動不足解消には、有酸素運動がおすすめです。ウォーキングやランニング、水泳などが挙げられます。
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ストレスの軽減
ストレスが影響してEDになる場合もあります。没頭できるような趣味や自分に合ったリフレッシュ方法を持つことが大事です。
ED(勃起不全)セルフチェック
自分がEDの疑いがあるかどうか簡単にセルフチェックを行うことができます。国際勃起機能スコアはEDのスクリーニングやED治療の効果判定に使われています。このセルフチェックで合計点が21点を下回るとEDの疑いがあるといえます。直近6ヶ月の状態で該当するものをお選び下さい。※国際勃起機能スコアIIEF-5は、あくまで目安です。
1.勃起して維持する自信はどの程度ありましたか?
あくまでも簡易的なチェックであり、これだけで医学的にEDと判断されるものではありません。心配な方は一度クリニックへ受信し、医師に相談されることをおすすめします。早めの受診が早期改善へと繋がります。