AGAってなに?特徴や原因について解説
AGAは、成人男性に多くみられる髪の毛が薄くなる状態のことです。思春期以降に額の生え際や頭頂部の髪が薄くなっていきます。20~69歳の成人男性の約3人に1人がAGAといわれており、一般的には、男性ホルモンや遺伝が主な原因と考えられています。
AGAは進行性なので、何もせずに放っておくと髪の毛の数は減り続け、徐々に薄くなっていきます。そのためAGAは早めのケアが大切です。こちらの記事では、AGAについて詳しくご紹介します。
目次
AGAとは
AGAとは、Androgenetic Alopeciaの略称で、日本語では「男性型脱毛症」と呼ばれています。日本人男性の約3割に当たる人がAGAであるとされており、その発症理由に年齢は関係なく、20代からクリニックを受診される方も少なくありません。年齢が高くなるとともに増加傾向にあり、一度発症してしまうと治療しない限り症状は悪化していく一方なので早くからの医師の診断を受けることが推奨されています。
AGAは髪の生え際や頭頂部のつむじ周辺のどちらか一方、または双方から薄くなっていくのが特徴で、ある日突然髪の毛が一気に抜けることはなく、長い年月をかけて徐々に薄毛の症状が進行していきます。
人間は1日に100本程度の毛が抜けると言われていますが、普段の生活でそこまで気になることはありません。しかし、AGAの症状が進行して抜け毛が増えることで、排水溝に詰まる髪の毛の量が増えたり、枕元の抜け毛が目立つようになるなど目に付くようになることでAGAの発症に気がつく方もいます。抜け落ちた毛は、通常は太くてコシのあるような状態ですが、AGAの症状が進行すると細くまたは毛先にいくにつれて細くなっていくなど弱々しい状態になっています。
AGAは主に男性ホルモンに起因して発症する疾患ですが、男性ホルモン以外にも遺伝やストレスなどさまざまな要因が関わっていると考えられています。
毛周期について
髪の毛には生え変わるサイクル「毛周期」があります。この毛周期が乱れてしまうことでAGAの症状が進行します。
毛周期は「成長期」「退行期」「休止期」の大きく3つに分類されます。
成長期
成長期は、毛母細胞が活発に分裂し新しい髪の毛が成長する時期です。健康的な毛周期における成長期の割合は、全体の80~90%を占めており、男性では3~5年、女性では4~6年の期間続くとされています。薄毛で悩まされている場合は、このサイクルが乱れている可能性が高いです。
退行期
退行期は、毛乳頭の働きが低下し、髪の毛の成長が止まる時期です。退行期は全体の1%程度を占めており、期間は2~3週間ほどです。休止期を迎える準備に入っています。
休止期
休止期は、新しい髪の毛を作るための準備をする期間です。休止期は全体の10〜20%を占めており、2~3ヶ月ほど続きます。
毛周期が乱れると成長期の期間が大幅に短くなります。健康的な成長期は、男性では3~5年ほど続きますが、何らかの理由で乱れると数ヶ月~1年ほどに短縮されます。髪の毛が十分に太く長く成長することができず、そのまま退行期を迎えることとなり、短くて柔らかい毛が抜け落ちていき全体的にボリュームが減って薄毛が目立つようになります。
AGAは放っておいて治るものではなく、治療をしなければ症状は進行していく一方なので早くから治療を始めましょう。
AGAが引き起こされる原因
AGAとなる主な原因として、男性ホルモンによるものと遺伝によるものが考えられます。
男性ホルモンによるもの
AGAの原因は、体内にある「DHT(ジヒドロテストステロン)」という男性ホルモンが関係していると考えられています。このDHTそのものは体内に元から存在しているものではなく、「テストステロン」という男性ホルモンと「5αリダクターゼ」という酵素が結びつくことにより発生します。
テストステロン
テストステロンとは、男性の筋肉や骨の健康を維持する働きがあり身体を作るのに欠かせないホルモンです。多ければ多いほど男性にとって嬉しい作用をもたらします。
5αリダクターゼ
5αリダクターゼとは、人間の体内に存在する還元酵素の一種で、AGAに関係する5αリダクターゼは2種類あります。
5αリダクターゼⅠ型…側頭部や後頭部をはじめ、全身の毛乳頭細胞に存在しています。以前はAGAと関係がないと考えられていましたが、実際には薄毛に関係していることがわかりました。
5αリダクターゼⅡ型…前頭部や頭頂部に多く存在しています。薄毛を進行させる原因のDHT(ジヒドロテストステロン)と結合されやすく、AGAに強く影響しています。
酵素は人間が生きていくために必要なものとされており、5αリダクターゼもテストステロンと同じく、男性らしい身体を作るために必要で欠かすことができません。
欠かすことのできない2つですが、これが結びつくと髪の毛にとってはマイナスに働いてしまうことになります。
DHTは、単体で薄毛の原因となるわけではありません。髪の毛は、毛根の一番下にある毛乳頭という部分で作られています。ここに存在する毛乳頭細胞がもつアンドロゲンレセプターという男性ホルモンをキャッチする受容体と結合することで、抜け毛の原因となるTGF-βという脱毛因子を生み出します。TGF-βには、毛乳頭や毛母細胞の働きを抑制し、脱毛を促す作用があります。これによってAGAが引き起こされます。
AGAと遺伝の関係
AGAは遺伝的な素因が進行に強く関係していることが明らかになっているため、両親や母方の家系に薄毛の人がいる場合、AGAを発症する確率が高まります。先ほど、AGAの原因で説明した「5αリダクターゼ」と「男性ホルモン受容体」が遺伝と密接に関係しており最も大きな要因です。
5αリダクターゼの活性度
5αリダクターゼの活性度は人によって異なり、高ければ高いほどDHTを過剰に生成する体質になりやすくなります。5αリダクターゼは優先遺伝といわれ遺伝しやすいものに分類されます。なので、AGAの人が身近にいると薄毛体質を受け継ぎやすいです。
男性ホルモン受容体
男性ホルモン受容体の数も人によって異なります。数が多ければ多いほどAGAの発症リスクが高まります。男性ホルモン受容体は隔世遺伝といわれ、祖父母またはそれ以前の世代の遺伝子が世代を超えて受け継ぎます。男性ホルモン受容体は遺伝子レベルで決まっていることから、薄毛が遺伝するケースが少なくありません。
AGAの特徴と進行パターン
AGAは進行性の薄毛です。初めはAGAだと気づきにくいですが、長い年月をかけて少しずつ進行していき最終段階では前頭部と後頂部において完全に頭皮が露出してしまいます。
このAGAの進行パターンは人それぞれ異なるため、段階ごとに症状の進行度を測る指標として医学的に分類されたハミルトン・ノーウッド分類とよばれるものがあります。
AGAの症状は大きく分けて3パターンに分けられます。
- 頭頂部からくるO字タイプ
- 額の生え際からくるM字タイプ
- 前頭部からくるU(A)字タイプ
さらに、そこから細かく9つの進行パターンに分けられます。
- Ⅰ型
- AGAの初期症状。額の生え際から薄毛が始まり、自覚することがあまりなく、他人からも気づかれにくい状態。
- Ⅱ型
- Ⅰ型よりも生え際の薄毛が進行している状態で、見た目に変化が現れ始める状態。
- ⅡVertex型
- Ⅱ型に加え、頭頂部がO型に薄くなってきた状態。
- Ⅲ型
- Ⅱ型よりもさらに進行し、生え際がM時になっている状態。全体的に髪の毛のボリュームも減少している状態。
- ⅢVertex型
- Ⅲ型に加え、更に頭頂部の薄毛がO型に進行して頭皮の露出が目立ち始める状態。
- Ⅳ型
- 生え際が後退し、頭頂部がO型に薄くなっている状態。
- Ⅴ型
- 生え際の後退がより進行した状態。同時に頭頂部も頭皮が大きく露出し始める状態。
- Ⅵ型
- 生え際から頭頂部にかけてかなり頭皮が露出した状態。
- Ⅶ型
- 全体的にかなり頭皮が露出した状態。
ハミルトン・ノーウッド分類から見て分かる通り、AGAは前頭部と後頂部の薄毛が目立つことが大きな特徴です。
この分類と自分の状態を照らし合わせることで、自分がAGAの疑いがあるかどうかセルフチェックすることができます。
少しでもAGAの疑いがあった場合は、早めに医師の診察を受けることが推奨されていますので放置しておくのはやめましょう。症状が進行していきます。
自宅からでも医師の診察や薬の処方をしてもらうことはできるので、まずは気軽に相談してみてください。
AGAの治療について
AGAは正しい治療を行えば改善する見込みは高いです。しかし、AGAを根本的に完治させることは困難とされています。現在のAGA治療はあくまで、抜け毛の抑制と発毛を促進することを目的とした治療になります。治療によってAGAが改善された状態を保つためには治療を継続し続ける必要があります。AGA治療のゴールは「薬を飲み続ければ髪の毛が増えた頭をキープできる」状態です。
AGAの治療方法は主に3種類
AGA治療の選択肢は大きく3つあります。
薬剤治療
AGA治療で最も広く浸透しているのが薬剤治療で、有効性も最も高いと考えられています。薬剤治療は「内服薬」と「外用薬」の2つに分けられます。
内服薬は、錠剤などを飲んで効果を期待する薬です。抜け毛の抑制と発毛効果を期待することができます。代表的なものとして、プロペシアやザガーロなどがあげられます。
外用薬は、頭皮に直接塗布することで効果を期待する薬です。発毛促進の作用を含む成分が含まれていて、代表的なものとしてミノキシジルがあげられます。
注入治療
注入治療は注射器などを用いて成長因子(グロースファクター)などAGAに効果的な成分を直接頭皮に注入して効果を期待する治療方法です。「メソセラピー」や「HARG療法」があげられます。薬剤治療に加えて更に効果を実感したいときに選ばれることが多いです。
メソセラピーとは、注射器などを使って髪の毛の成長を促す有効成分を直接頭皮に注入する治療法です。メソセラピーは、注入する行為自体を指す表現であり、注入する薬剤や効果はクリニックにより異なります。
HARG療法とは、成長因子やビタミン、アミノ酸などを配合したHARGカクテルという薬剤を注射器などを使って頭皮と真皮の間に直接注入する治療法です。HARGカクテルは、患者様の症状に合わせて配合することができます。
自毛植毛
自毛植毛は、自分の毛髪を薄毛部位に移植する植毛術のことです。ほぼ確実に増毛を実感できる反面、費用が高額になりやすく、痛みや外科手術に伴うさまざまなリスク(合併症など)が懸念されています。
治療開始から効果が出るまで
AGA治療を開始して効果が出るまでは、一般的には3~6ヶ月が目安といわれています。年齢や進行具合によって個人差がありますが、若ければ若い方ほど治療効果が出やすいとされています。治療から1年が経つと生えている髪の量も安定してきます。
髪が生えたら治療は辞めていいのか
AGAは症状が改善しても、進行性の疾患であるため治療をやめると再発します。AGA治療薬は、あくまでも症状の進行を抑制する効果にとどまります。生えた髪を維持するためには、そこからさらに治療を続けていく(服用を続けていく)必要があります。
AGAセルフチェック
自分がAGAかどうかの可能性を判断するポイントは、髪質と抜け毛に注目することです。一般的な目安とされるAGAのセルフチェック方法は下記のようなものがあります。1つでも当てはまる場合は、AGAの可能性が否定できません。
- □頭頂部や前髪の毛にコシがない
- □分け目が広がって地肌が目立つ
- □シャンプーを流した後、目立つくらいの抜け毛がある
- □枕に落ちている抜け毛が細く弱々しい
- □生え際が以前より後退しているように感じる
- □血縁関係の親戚に薄毛の方が多い
少しでもAGAの可能性がある場合は、医師への早めの相談・治療をおすすめします。将来的に薄毛になる可能性を低くすることができますし、治療効果も早い段階で実感することができます。進行してしまってからでは、治療の効果が出るまでに時間がかかってしまいます。また、発毛サイクルの毛周期が完全に終わってしまっているなど最悪な場合には、どんな治療をしても発毛することができないということがあります。まずは気軽に相談ができるオンライン診療がおすすめです。
AGAってなに?特徴や原因について解説まとめ
AGAについてご紹介しました。日本人の成人男性の3人に1人がAGAといわれているので思ったよりもずっと身近に潜んでいます。治療を早く始めれば始めるほど効果の実感が早くなるので、自分にAGAの疑いがあるかもと思ったら医師に相談してみましょう。AGAの治療を行っているクリニックは、相談しやすい環境づくりをされているところが多くあります。